まずは評価法です。この回がいちばん大事です。
その症状のある局所を診ることについては、よく勉強し、日々実践し、ある程度知識も評価も身についているかも知れません。
しかし、私自身も整形外科に勤めていた頃より臨床に出てから悩んだのは、やはり局所評価・アプローチを深めていく中で、それだけでも良くなる人もいますが、全体性からなぜその局所に負担がかかり、今の病変が生じてしまったのかを紐解くことができなければ、同じように受傷したり、同じ症状で苦しむ方々がたくさんいて、一旦良くなっても、再びその症状が出てまた受診して通って来られるのを繰り返すという負のループを救うことができなかったことです。
そして、そこからさらに筋骨格系のみならず全身に無数にある体のつながりを知れば知るほど臨床家は悩み始めます。
例えば、膝の痛みの原因を全身から探して行く時に、そのすぐ前後にある股関節や足部は思いつくと思います。
しかし、実際には、肘や側頭骨、はたまた大腸や腎臓、はたまたメンタルの問題などさまざまな体の部位が原因になることがあり、それをしらみつぶしにやっていっていたらとてつもない時間がかかります。
パルペーションは、それをまずは体の膜組織の反応から探り、原因部位を見つけるという評価方法になり、それを習得していきます。
パルペーションでは、その人の局所症状のみならず全体のひずみに対して、その発生部位、つまり原因部位を特定することができます。原因部位さえ見つけることができれば、あとはその痛みの局所部位と原因部位の関連性を全体の運動学的連鎖や関連する運動器から評価し、それを前後評価としてアプローチすれば良いのです。
そうすると、まさかというようなところから全身的に波及したひずみが集約されたその局所に症状が出ていることが多々あり、実際にアプローチすると症状が良くなり、さらに患者様とその情報を共有するとやはり過去の既往歴や内臓の不調等思い当たる節があります。
人の身体の不思議と可能性、そしてその人の今の習慣だけでなく過去もあっての現在の体の状態であり、そのつながりの奥深さを感じます。
評価さえできていれば、確実に変化、結果は出ます。
そして、臨床は人対人です。ただ、自分が理解してアプローチをしても自己満足でしかなく、患者様のためにはなりません。
患者様自身がいかに理解し、納得し、行動変容を起こすか。
その評価で知り得た情報を患者様と共有し、一緒に考え、理解する。その流れが非常に大事になってきますので、その部分も踏まえてお話ししていきます。
評価がしっかりでき、患者様と的確に情報共有ができ、共に考えるプロセスを踏みながらアプローチができることで、
試行錯誤してやってみたけど何もできなかった・・・
来る度同じ痛みがまた出ていて本当に自分のやっていることはこの方のためになっているのだろうか・・・
ということはなくなります。
結果が出るから喜ばれ、自信が出る。仕事が楽しくなる。
そして、結果が出るからこそ治療家としての経験も日々積んでいくことができます。
何よりまずは評価です。まずは1日時間をかけてその評価法を習得していきます。
【概要】 5時間×1回
1. 評価の意義
2. 原因部位を特定する評価法
3. 全体と局所の評価
4. 評価の流れ
5. 筋・関節・内臓・脈管系・脳などそれぞれの評価法
6. 評価から症状箇所と原因部位をつなぐ考察の仕方
7. 臨床コミュニケーション術
①局所と全体の評価法・パルペーション
詳細ページ:身体に聴く評価法
②「骨盤帯と足部・肩甲帯」 カラダを要となる土台から整える
詳細ページ:骨盤帯と足部・肩甲帯
③内臓から全体を診る
詳細ページ:内臓
④「脊柱・頭蓋」と自律神経
詳細ページ: 脊柱・頭蓋